3.出会いそれぞれ ・・・ 勘違いやら場違やら
さすがバイロイト。 たまたま出会った老若男女が国や言葉の壁を越えて、突然ワーグナー論議で盛り上がるところは驚きです。 内容も、W.Schmidt(ジークフリート)はカツラが蒸れて気持ち悪いのであんなデカイ声で歌うんだろう!とか、<ワルキューレ>のオフィス風ワルハラにあるミネラルウォーター給水器(外資系のオフィスによくある巨大ペットボトルを逆さまにしたアレです)はラインの水と思われるがあれは冷えているのか?など様々です。
朝のビュッフェの陰で、私が昼飯用サンドイッチをこっそり作っていたら、隣で同じことをはじめたアメリカ人Billと意気投合。 その後毎日、朝食、劇場往復バス、幕間とみっちり英語攻撃にさらされるはめに・・・。乏しい形容詞のvocabularyではネタがすぐ尽き、苦し紛れにわがトーキョウ・リングに出てくる "Doomsday Clock" (注)を話題にしたのが運の尽き。そのまま彼の仲間の待つレストラン連行され、深夜まで飲みかつ語ることに。
(注:ブリュンヒルデの巨大ベッド脇に置いてあるデカイ目覚まし時計。零時を終末と見立て、核戦争等の危機を象徴的に訴えるもので、現在は11時53分)
実は、彼らはワシントンDCのワーグナー協会の面々。 平均年齢は60歳以上と見受けられ、はやりのネオコン保守派かと思いきや、さすがに首都ワシントンのインテリ集団、METのディズニー<リング>をツマランと切って捨て、返す刀でJ.Flimm演出は世界に向けたメッセージがないゾとか、黄昏1幕でグンターに姿を変えたジークフリートがノルンの持っていた赤いロープでブリュンヒルデを縛り上げたのがsexyとか、ビールのせいかお歳を感じさせないパワーに圧倒されっぱなし。

ワシントンDCのワーグナー協会メンバーと飲み会(Eule)
なお、アメリカにはワーグナー協会が地区ごとにいくつか存在し、会員数300名を抱えるワシントンはニューヨーク、LA,と並ぶ大所帯で、毎月のようにセミナーやレクチャーを中心に活動しているとのこと。 なお(会員の高齢化のせいもあるのか)、チケットは大体2〜3年に一度の割で当選するそうです。 しかもパートナーとペア!二人とも好きならいいのですが…。
※W協会Washington DCのホームページ http://www.wagner-dc.org/index.html
もちろん、わが日本ワーグナー協会の方々とも多く知り合い、その後も例会やオペラ会場(ひょっとすると一番はその後の飲み会?)で親しくお付き合いいただけるようになったのは、何事にも変え難い大きな財産となりました。
そんな中でも、たまたま≪リング≫の4日間隣に座り合わせた、ワーグナーやバイロイトのことをよくご存知なロマンスグレーの中年男性。 にわか協会員の悲しいところ、調子に乗って歌手や演出の批評などを語りあってしまった。
と・ところが、この方がな・なんとバッハ研究の大家で協会「ヤールブーフ」の前編集長の礒山先生と知ったのは、黄昏終演後の協会諸先輩方とビールをご一緒している時! スーと酔いが醒めてしまい、つい深酒してしまいました。 先生早く言ってくださいよ! その後も親しくご一緒させていただきましたが、この場を借りて改めてお詫び申し上げます。
また、ここのオーケストラで長くバイオリンを弾いている眞峰紀一郎さん(ブーレーズの前ホルスト・シュタインの時代からですから25年以上!)とも先生のご紹介でご一緒させていただきましたが、幕間の休憩に「暑いですね〜」とおしゃりながら半ズボン姿で出て来られたたのを見て、バイロイトのオケピットの特殊構造を実感するとともに、幕間にカジュアルウエアで劇場周辺歩き回っている人達がダフ屋や不審者でないことを初めて知りました。 今までの疑いの視線申し訳ない。

バイロイト・オケの眞峰さんの演奏衣装(左から二人目)
